慢性肝炎とは
慢性肝炎とは
慢性肝炎は肝機能異常が6か月以上続く疾患のことを表します。その主要な原因は、非ウイルス性(アルコール性、脂肪肝)とウイルス性(B型肝炎、C型肝炎)に分けられます。
慢性肝炎は、長い間自覚症状が現れませんが、長期にわたり肝臓が損傷を受け続けると、肝硬変となり肝臓癌を起こす恐れがあります。
非ウイルス性肝炎
以前はウイルス性肝炎が慢性肝炎の主でしたが、現在は非ウイルス性肝炎の方が増えています。
その中でアルコールによる肝炎とアルコールによらない肝炎(非アルコール性脂肪性肝疾患)に大きく分かれます
アルコール性肝炎
アルコールは肝臓で分解されますが、日常的に飲むアルコール量が多い場合、肝臓の仕事量が増えすぎてしまい対応しきれずに脂肪肝の状態になってしまうことです。このアルコール量の目安は個人差はありますがアルコール量が60g/日(女性や弱い方だと40g/日)を超え、連日長期に渡って飲酒された方に起こりやすくなります。なお60g/日はビールで1.5L、日本酒で3合弱程度です。
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)
肥満や生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病など)をお持ちの方に発症する可能性が高く、食生活や生活習慣の乱れにより脂肪肝を引き起こすことが原因となります。なお脂肪肝といっても油物を多く食べたからといってなるわけではなく、肝臓の中にある細胞達が、過剰なカロリー(主に糖分)を油(中性脂肪)に変えて貯蓄して大きくなっているのです。
あまりにも大きくなりすぎてしまうと細胞が破れてしまい、そこに炎症を起こして肝炎(非アルコール性脂肪肝炎:NASH)を発症します。
早期発見が重要ですが、この病気自体に自覚症状はほとんどありません。また健康診断の血液検査(AST、ALT)が高くて発見されることもありますが、数値が高くなくても発症していることがあります。肥満や生活習慣病をお持ちの方は、必ず一度は脂肪肝の有無を腹部エコー検査で調べるようにしましょう。
この病気そのものに対する治療薬というものは今はまだありません。生活習慣の改善と予防が非常に重要になります。
ウイルス性肝炎
B型肝炎ウイルス
B型肝炎ウイルスは、お産のときに母親から子への感染が起きることが多く見られましたが、現代の主な感染ルートは感染者との性交渉があります。
その他、覚せい剤の注射針や刺青の針などを通じた感染も報告されています。急性肝炎の発症後、ウイルスは自然に体外へ排除され、治癒することが多いですが、まれに成人でも慢性化します。
C型肝炎ウイルス
C型肝炎ウイルスの感染は、使いまわしの注射針や刺青、それらの症例での感染源が明らかでないケースでも起こります。一度感染すると、約70%の人がウイルスを持続的に体内に保持し、慢性感染状態となります。
これらのウイルスに対する予防策の基礎は、他人の血液との接触を避けることです。歯ブラシやカミソリの共有は避け、血液などの体液に触れる必要がある場合はゴム手袋を使用します。
また、刺青やピアスをする際は、器具が適切に消毒されていることを確認し、注射器や針の共有は絶対に避けましょう。さらに、性交渉に際してはコンドームの使用が推奨されます。
B型肝炎に対するワクチン接種は、感染を大幅に防ぐことができます。B型肝炎ウイルスキャリアの母親から生まれる新生児、医療従事者、救急救命士、消防士、警察官などは、優先的に接種を受けるべきとされています。
しかしながら、母子感染や性感染など、自分で感じることの難しい感染経路も存在します。それゆえ、定期的な健診を受け、早期発見・早期治療を目指すことが重要となります。
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